概要

JSTの次世代研究者挑戦的研究プログラムに、本学の「独自ネットワーク形成を行う、開発主導型博士学生研究・教育支援プログラム」が採択されました。 本プログラムでは、本学の博士後期課程学生の将来キャリア開拓を特徴的なものにするために、学生の独自研究者ネットワーク構築、 オリジナリティを発揮させ商品開発にもつながる研究開発能力の育成、アジア圏内で将来の研究の場を形成することも視野にいれたアジア圏言語の習得を3つの柱としています。 自らの専門研究に加え、これらの育成プログラムで育成された特徴ある博士後期課程人材の輩出を目指します。 また本学には、「万人のための先端科学技術研究」、「自ら情報発信する国際的研究者・技術者育成」、「時代を切り拓く科学技術に関する創造活動・社会との連携」という3つの理念があり、 これに加えて第4期中期目標・中期計画では、「共創進化スマート社会」の基盤技術の幅広い知識・本質、その限界を深く知り、未来社会を生み出す実践力イノベーション人材を養成することを目指しています。

具体的に本プログラムでは、以下に示す3つを柱に博士後期課程育成を支援します。
(1) 多摩地区に多くある研究機関を中心に、博士後期課程の前半でいったん自分の指導教員から離れ、半年という短期間で異分野研究者とともに共同研究の開拓をしながら、 独自の研究者ネットワークを構築する。
(2) 自分のオリジナリティを主張できるものとして、自分が得意とする技術や知識をもとに、社会人を再教育するリカレント教育プログラムを開発する。単に作るだけでなく、 そのプログラムを利用する顧客を意識し、商品としてアピールするwebコンテンツなども製作してもらい、それを本事業Webサイトでアーカイブ・公表する。 これらは、実際に社会人再教育につながるように事業運営側が支援する。
(3)本学にすでに多数赴任しているアジア系言語を母国語とする教員による、研究者にマッチしたアジア圏言語学習プログラムを受講する。 1年後をめどにその習得状況を試すために、共同研究・研究者派遣という形で対応するアジア圏へ派遣する。

これら3つの育成プログラムを経験した博士後期課程学生が、自らのオリジナリティを強く感じ、自分の博士学位取得後のキャリア展開もより深く考え、 その上で自らの専門分野での博士研究を行っていけるように支援をします。博士後期課程後半になり、専門研究に重心が移っていく中でも、 企業からの要望などで研究者・技術者向けのリカレント教育などの機会ができた場合、ワークシェアをする形で活動を行い、それに関する経費は本プログラムが支援することとなります。

キャリア開発・育成

具体的なキャリア開発・育成コンテンツは、上述した3つの柱にそって以下のような形になります。

① 白紙からの研究プランニング教育(異分野他機関短期共同研究プロジェクト開発)
博士後期課程となった学生は、1年次に、指導教員から離れる形で主に多摩地区にある研究機関の研究者との間で、自分の専門分野とは異なるもう一つの研究を共同研究という形で立ち上げます。 この立ち上げ期間は半年とし、1年次に2つの研究機関との共同研究立ち上げを行います。 対象となる研究機関は、本事業の「短期プロジェクト開発ラボ」教員が、博士後期課程学生の特性や希望を考慮した上で、共同研究先となる研究機関の研究者と協力して候補を作り、決定します。 これにより、産業界で求められるような時間が限られた状況での研究開発能力や、異分野交流という形での研究を早急に開始する経験、 さらに、学生本人が自らの専門分野とは異なる研究者と議論することで独自の研究者ネットワークを構築することができます。

② 研究者・技術者向けリカレント教育ツール開発(オリジナリティと商品化を意識した開発能力の育成)
ここでは、産業界での商品開発をイメージさせた開発力育成プログラムを行います。本学の学生の持つ基本的なスキルは、実社会の中で必要とされるものが多く、 例えば、常に発展しているJetson nanoなどのシングルコンピュータの応用や携帯端末を利用した科学ツールなどは、学生の中でも世代感があるほど高速に変化しているものであり、 それらを使ったツール開発は産業界などでも常に望まれています。 さらにレーザーやAIといった現在では多くの分野で必須のツールとされているような技術の最新情報は、特に産業界からは教えてほしいという要望が本学に多く寄せられています。 そこで、研究者・技術者向けのリカレント教育ツール開発として、本事業博士後期課程学生が、社会で必要とされる技術の再教育を行うプログラムを考え、それを実際に教えられるシステムまで開発し、 さらにそれを実際に商品化するために必要な使用マニュアル、稼働している動画、広告webサイト用コンテンツなども制作してもらいます。 これらは、本事業web上で、 “商品”として展示し、大学の持つ産学連携ネットワークも利用し、顧客となる社会人を募るシステムを構築します。

③アジア言語習得(研究者を中心としたアジア圏言語講習)
本学の博士後期課程学生の将来キャリアを考えた場合、その活躍する場はアジア圏にまたがる形で行われることが多くなっています。その際、学生のキャリア形成で特徴の1つとなるように、 アジア圏言語学習を研究者・本学教員を中心とした講師システムで行います。理工系研究者・技術者のコミュニケーション能力としては、英語を使うことは当たり前でありますが、 現状の国際共同研究を見ていると、相手国の言語を少しでも理解しコミュニケーションできている研究者は、さらに深い交流を行っている事実があります。 そこでまず、中国語において、週2回程度Evening言語講習会を少人数制で開始します。これには、中国母国語の教員と中国からの留学生をサポーターとして配置し、特に科学者間での会話に適した講習を行っていきます。 中国からの留学生が本事業対象となった場合には、他のアジア言語を2年度目以降に立ち上げるので、そこで習得してもらいます。受講学生には、半年後には、挨拶および自分の研究紹介などができるレベルを目指してもらい、 受講後1年後をめどに、対応する言語の国に派遣し、その講習の効果を確かめてもらいます。 これら派遣には、すでに本学と協定校となっている大学、既存の本学のASEAN研究ネットワークなどを利用します。